おせち料理は、「めでたさを重ねる」という意味で重箱に詰められます。
各段ごとに詰める料理が異なり、「この段にはこの料理を詰める」というルール、そして素材や料理に込める意味があります。
本来は五段重ねだったそうですが、最近は三段重が多いようです。
地方やしきたりによって詰め方は異なるようですが、代表的な詰め方を紹介させていただきます。
一の重：祝い肴(ざかな)・口取り
重ねたときに一番上にくる「一の重」。そこには祝い事にふさわしい祝い肴(ざかな)と口取りを詰めます。
口取りとは、かまぼこやきんときなど酒の肴になる料理のことです。
数の子
ニシンの腹子である数の子は、二親(にしん)の子に通じ、卵の数が多いことから「子孫繁栄」を願う縁起物とされています。
田作り
片口イワシの稚魚を干して、飴炊きにしたもの。
片口イワシを農作物の肥料として使った田畑が豊作になったことにちなみ、五穀豊穣を願います。
「五万米」の字を当て「ごまめ」と呼ばれることもあります。
黒豆
黒く日焼けするほどマメに、勤勉で健康に暮らせるようにとの願いが込められています。
たたきごぼう
地中深くに根が入っていく牛蒡のように、深い根をはり繁栄することを願います。
紅白かまぼこ
赤は魔除け、白は清浄の意味があります。
伊達巻
形は巻物に似ているため、知識が増えるようにとの願いが込められています。
昆布巻き
「こぶ」は「よろこぶ」に通ずるとして、縁起が良いとされています。
栗きんとん
栗は昔から「勝ち栗」と呼ばれる縁起もの。
きんとんは「金団」と書き、黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな一年を願います。
二の重：焼き物
「二の重」は、縁起のいい海の幸を中心に焼き物を詰めます。
ぶり
ぶりは大きさによって名前が変わる出世魚なので、出世を願います。
鯛
めでたいに通じます。赤い色が慶事にふさわしく、堂々とした姿で、傷みにくく味も格別な鯛は、ハレの食事にふさわしい魚として好まれました。
海老
長生きの象徴。海老のように腰が曲がるまで長生きすることを願います。
三の重：煮物
「三の重」は山の幸を中心に、家族が仲良く結ばれるように煮めし(煮物)を詰めます。
れんこん
穴があいていることから、将来の見通しがきくようにと願います。
里芋
子芋がたくさんつくことから、子孫繁栄を願います。
八つ頭
頭となって出世をするように。また、子芋がたくさんつくので子孫繁栄を願います。
くわい
大きな芽が出てめでたい。また、子芋がたくさんつくので子孫繁栄を願います。
ごぼう
根を深く張り、代々続くことを願います。
与の重：酢の物・和え物
忌み数字とされている「四」は使わず、「与の重」とします。
日持ちのする酢の物などを詰めます。
紅白なます
紅白でめでたく、祝いの水引にも通じます。また、根菜のように深く根を張るようにと願います。
菊花かぶ
冬が旬のかぶを、おめでたい菊花のように飾り切りしたもの。紅く染めて、紅白の酢の物に仕立てることもあります。
小肌粟漬け
出世魚の小肌(コハダ)で、将来の出世を願います。
小肌(コハダ)はコノシロという魚の成魚になる前の名前です。また、粟はクチナシで黄色く染め、五穀豊穣を願っています。
五の重：空または好きなもの
年神様から授かった福を詰める場所として空っぽにしておくか、家族の好物や予備の料理などを入れるそうです。
三段重の場合
三段重の場合は、「一の重」を祝い肴と口取り。「二の重」に酢の物と焼き物を。「三の重」に煮物を詰めます。